老人と犬が出てくるお話は少年だった私の心に静かにひっかかった

  • 2017/5/24

野良犬を街中であまり見掛けなくなりましたね。

しかしSNSなんかを眺めていると犬ネコ達が一時的に施設で保護されている状況をまざまざとお見掛けしますのでやはり存在しなくなった訳ではなく、どこかでは必ず身寄りの無い動物達が存在するのだなと思います。

そして世の中には野良犬に手を差しのべる方がいらっしゃる。そんなことを考えている折りに子供の頃に読んだあるお話を思い出しました。

お話と云っても まぁ漫画なんですが、形式は一話読み切りタイプで、昔のことなんでそれほど絵も綺麗じゃない。でも私の心を掴んで離さない何かがそこにありました。そしてそれは今も引っ掛かったまま私の記憶の片隅に刻まれています。

そんな話をちょっとお話ししたくなりました。


それは老いた男とちょっとくたびれた感じの老犬が出てくるお話なんですが、このお爺さんひょんなことで自分の余命を知ってしまうのですね。3年、、

爺さんは偏屈で頑固でした。友達もいなかったし、家族は近くにいますが関係性はどこか疎遠でした。そして意地悪で気性が荒かったからすぐに人やモノにあたるトンでもない人でした。

ただそのかわり誰にも頼らずに生きていることに誇りを持っていました。

ある日この爺さん、散歩の道すがら老いてくたびれた野良犬を見掛けるんですが、どうも頼りない目をした犬でどうも気に入りません。犬が近寄って来るとその爺さんは理由もなく無性に腹を立てて犬を杖で打ち叩き、追っ払ってしまいます。

いや、本当は理由があって、その犬に自分を重ね合わせてしまったんでしょう。今なら何となく分かるのですが同じ様な境遇のその犬に憤りを感じたのでしょう。そしてなんというか目障りだった。

それからも爺さんと老いた野良犬は何度か顔を合わせます。犬は爺さんの事を何故か慕っている様な素振りを見せますが、爺さんはどうしてもその犬の事を好きにはなれませんでした。

そして転機がおとずれます

ある日のこと足が弱っていた爺さんは道端で倒れてしまいます。怪我をしてしまって、杖を使っても上手く立ち上がれませんでした。

そこへあの野良犬が通りがかります。

「助けてくれ」

爺さんは助けをこいましたが、野良犬は爺さんの杖を口に咥えると何処かに姿を消してしまいます。

「見放された、、」

爺さんは道路に伏しながらいつものように悪態をついた後に、気を失ってしまいます。

次に気がついた時は自宅の布団の上でした。

なぜ自宅に戻れているのか爺さんには訳が分かりませんでしたが、枕元に座っていた息子さんから事実を聞かされます。

あの老いた野良犬が爺さんの杖を咥えてその老人の息子の家まで歩いて行って、ワンワン吠えていたというのです。不思議に思った息子が犬についてゆくとそこに老人の倒れた姿を見つけたのだと。

何の恩義もない犬が助けてくれた。むしろ目障りに思っていたのに。

回復した爺さんは犬を探します、公園を、路地裏を。

いました。

そして犬はあいも変わらず身寄りの無い野良犬でした。

そっと犬の頭を撫でます。

「あたたかい、、」

それは久しく忘れていた温かみでした。そこから老人は犬にたくさんの言葉をかけます。杖で殴ってしまったことへの謝罪、道端で助けてくれたことへの感謝、目障りだと思っていたこと、今まで自分は強がっていたという独白を、、

犬は何も喋りませんが、ゆっくりと老人の歩みについていきました。老人はもう犬を拒絶することはありませんでした。

犬は老人宅の玄関に住まうことになりました。

最後に死神が老人に問いかけます。

「あなた、あの犬を最期まで面倒みれるのかい?」

老人は答えます。

「知らん」

やがて死神は老人の前から姿を消しました。


ストーリーはここで幕を閉じます。

小学生だった私は少なからずショックを受けました。

恩返し的な話でもなければ、因果応報的な話でもない。夢がある話でもないし、もっといえば一般的な善悪の判断からもかけ離れた話の内容に訳も分からず涙したのです。

そこにあったのは孤独な人と犬だけで、最終的な結末も描かれていない。けど晩年は一緒に暮らすことになったという事実だけが描かれているのでした。

犬ネコを飼ったら最期まで面倒をみるという一般論でさえこの物語の中では「知らん」のひと言で片付けられてしまうのです。

理想も語られることのない静かなお話でしたが、今も私の心に静かにひっかかっているのです


久しぶりの更新です。

来てくれてありがとうございます、またね

仲 高宏「na工房」の管理人

投稿者プロフィール

主に日曜大工(diy)やハンドメイドに関するお役立ち情報を発信しています。
電動工具の扱いや、木材の加工方法、便利な補助道具の紹介を記事にしています。
最近は「木彫り」や「切り絵」も始めました。

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