移りゆく世の中で変わらないモノが本当は尊かったりしますよね、桜でも見に行こうよ

  • 2017/3/22

三月も中旬に差し掛かると指先がかじかむような寒さも和らぎ日中の陽射しが暖かくなってきます。奈良では東大寺二月堂のお水取りが過ぎれば春の訪れだと言われています。

桜とともにやってくる春の訪れが好きな人も多いでしょう。

日本には四季があって季節が変われど生活する我々は毎年くるくるくるくる同じ様な営みをそれぞれの季節で過ごしています。程度の差はあれど、畢竟するにご飯を食べて寝て、時に泣き、時に笑う、その繰り返しです。

世の中が劇的に変化していくさなか、一見して退屈ではありますが、変わらないことの大切さなんていうことも四十手前の歳になると感じるようになってきました。

人の力では止めることができない変化の中で変わらないことに心打たれる事

‥‥

そんなことをはじめて感じたのはいつだったかを遡ってみますと懐かしいエピソードを思い出しました。

ずいぶん前の話ですが、私が大学生の時ですから16年ほど前になると思います。その頃はスマホなんてなかったですから就職活動なんかでネットを使用する場合なんかは学校のPCに群がって順番待ちしていました。

我々の時代は就職氷河期と呼ばれ企業の採用が極端に少なかったのを記憶しています。

上手くいかないと現実逃避にネットの波を漂流するのは今の時代とあい変わらずで、その時代も流行りで流れてくる情報にただただ流されていました。まだ画像転送するのにも時間がかかった時代ですのでもっぱら文字ばかりを追い掛けていたと思います‥

そんな記憶の中でたまに思い出されるのがドラえもんの最終回という作り話があったことで、全くの非公式でどこの誰が作ったかも分からない小説を皆むさぼる様に読んでいたなんてことがありました。そりゃ就職もなかなか決まりませんよね。

古い記憶ですが内容的にはこんな感じのことだったと記憶しています。

‥‥

それは突然のことでした、ある日を境にドラえもんは動かなくなってしまいます、助けようにも解決する手立てがなくのび太君は途方にくれてしまいます。それもそのはず未来のテクノロジーで生み出されたロボットは現代科学では復旧不可能だったのだから‥

動く気配のないドラえもんをどうしようもなく眺めるだけの のび太君でしたが悲しみの果てに一念発起し、勉学に励むことになります、いつかドラえもんを自分の手でどうにか助け出すんだという信念のもとに。

勉強の苦手なのび太君でしたからずいぶん苦労します。何年も何年もかかります。春が過ぎ、夏が来て、秋が深まり、冬の寒さを幾度繰り返したことか。

やがてのび太君は科学者になり社会的には成功をおさめますが、ドラえもんを助けるという念願はかなわず、幸せな生活を送りながら、それでも仕事の合間を縫って研究を続ける毎日を続けます。変わり映えのしない毎日です。

ついには白髪も混じる年齢に差し掛かり、誰もが諦めたものと思っていた頃に奇跡が訪れます。

静かにドラえもんが動いたのです。

のび太君の頬を涙がつたいます、あれほど待ち望んだ瞬間であるのにかかわらず、気持ちの整理がつかずに何も声にすることはできなかったのです。

そんな声無き声に咽び泣くのび太君を見るに見かねたのか不意にドラえもんが優しく話し掛けます。

「どうしたんだい、のび太君?またジャイアンにいじめられたのかい?」

‥‥

苦労を乗り越えて変化していく時代とのび太君、それに対してドラえもんがのび太に向けるその眼差しだけは時を越えても決して変わらないというその話のコントラストに皆涙しました。

あの変わらないドラえもんの眼差しは私の心に深く深く鮮明に刻まれました。

就職活動のことなんてきっと忘れていたと思います。

‥‥

話は私の過去に戻ります

やがて就職戦線で勝ち残った人もそうでない人もその後は社会に出ます。あれだけ学生時代ともに過ごした仲間達も社会に出た途端に散りぢりになります。自分の生活のために忙殺される日々、気が付いたら連絡が取れる友達も減ってゆきます。

たまに繋がったかと思えば、お金を無心してくるかつての友人も出てきます。痩せこけた頬に貼り付いた得体の知れない愛想を振り撒いて近付いてくるその姿を目の当たりにしたとき、そんなときは心が張り裂けそうになります。そして実際に張り裂けた心の隙間からは冷静な自分が目を覚まし、残酷な返事をしたりするのです。

吐きそうになりました。

子供の頃は大人になると強くなるものだと思っていましたが、そんなことはとんでもなく、涙があまり出ないだけで実際は大して強くないものだということを知ります。

‥‥

それでも前に進んでいると、不意に温かさに触れることがあって、そしてその暖かいものは何だか昔から変わらないものだったりします。そして激動の変化の中で変わらないものに触れたときに我々は涙するのです。そこには本当に見たかった何かがあるから‥

そして変わらないと思っていたものが変わってしまった時に一抹の寂しさと共に悲しみが襲いかかり心を切り裂いてしまうのです。

生きているとそんな事の繰り返しで、そんなことが毎日ありますから泣いたり笑ったりその都度に感情が揺さぶられて、ちょっと苦しくなります、困ったことに苦しくてもそれでもお腹は空きますから食事をとります、ご飯を食べれば眠くなりますのでお布団でお休みします。翌日スッキリして目覚めて極めて単純な自分にちょっと嫌悪します。

「何なのだ、この毎日は」と答えのない疑問に立ちすくむこともあるでしょう。

でもそれは本当はありがたいことで苦しさで食欲や睡眠欲がなくなるなんてことになれば数日でヒトは壊れてしまうのですから、日が暮れてリセットされる毎日はきっと尊いものなのです。

‥‥

リセットされる日常は進んでいないように見えても実は進んでいることもあります、あの作り話で読んだのび太君の努力の様に、長い年月を経て花開くことがあるかもしれない。

しかしそれは結果論であり、大抵の人生は報われない毎日が続くもので無情にして残酷、何せ一日は24時間でリセットされ続けます。変化を感じるのは季節の移ろいだけかもしれません。

でもそれでいいのだと私は考えています。季節の移ろいを感じられる間は正常な人の営みを過ごしているということ

‥‥

季節の変化が感じられないなら、どこか無理をして生きている証拠なのではないでしょうかとも私は思っていて、いずれ物事が立ちゆかなくなります。

もし行き詰まったら視線を外に向けてください。

例えば今ならもうすぐ桜が咲きます。

春になれば桜が咲きます、日本中の川沿いや並木道、または遠くの山の斜面に、子供がいれば校庭に咲き乱れる桜を見上げながら入学式を迎える人もいるでしょう。

今の時代だからSNSにも桜の画像でタイムラインがいっぱいになるでしょう。

しかしひとまずネットからは離れて実際に桜を眺めながら道を歩いてみてください。桜の花びらは太陽にではなく我々の方向に向かって咲いています。そして花びらの隙間から流れ落ちる陽射しに心を許して下さい。

咲き乱れる桜の光景は何百年も続く日本の変わらない刹那的な美しい姿の象徴だから、

その短すぎる桜の美しい姿に心をゆだねるだけでも楽になるはずで、進まなかった足が前に向いちゃうかもしれないし、もちろんいつもの日常に戻ってもいいのです

‥‥

変わらないことは実に尊いことでもあるのです。

‥‥

読んでくれてありがとうございました、またね

仲 高宏「na工房」の管理人

投稿者プロフィール

主に日曜大工(diy)やハンドメイドに関するお役立ち情報を発信しています。
電動工具の扱いや、木材の加工方法、便利な補助道具の紹介を記事にしています。
最近は「木彫り」や「切り絵」も始めました。

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